フレイルとは?基本的な知識[介護]

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介護のニュースや記事で目に触れる機会が増えた「フレイル」。私は専門家でも介護業界の人間ではないので正直よくわかりません。せいぜい「要介護状態の一歩手前の状態」ぐらいの認識・知識しかありません。興味のある分野ですので、もう少し知りたいと思います。

フレイルとは何か?フレイルの定義とは

最初はフレイルの定義からいきます。

フレイルの定義

フレイル(Frailty)とは、主に高齢者において、加齢による生理的な予備力の低下に伴い、ストレスや外的要因に対する脆弱性が増加し、健康状態が悪化しやすくなる状態を指します。簡単に言えば、フレイルは「老化に伴う体や心の弱り」を表す言葉です。

具体的には、フレイルは「身体的」、「心理的」、「社会的」な要因が複雑に絡み合った状態として定義されます。身体的には筋力低下、体重減少、疲れやすさ、歩行速度の低下、身体活動の減少が見られ、心理的には認知機能の低下や抑うつ状態が含まれます。さらに、社会的孤立や支援の欠如といった社会的要因もフレイルに影響を与えます。

身体的フレイル

筋力低下特に四肢の筋力が衰える
体重減少特に非意図的な体重減少が見られる
疲労感容易に疲れやすくなり、活動性が低下する
歩行速度の低下通常の歩行速度が遅くなる
身体活動の減少日常的な活動が減少し、座りがちになる

心理的・認知的フレイル

認知機能の低下記憶力や判断力が衰える
抑うつ症状日常的な活動が減少し、座りがちになる

社会的フレイル

社会的孤立人との交流が減少し、社会的な関係が希薄になる
支援ネットワークの欠如必要な支援を受けるためのネットワークが不十分

    フレイルになる基準

    具体的なフレイルの概要と定義はわかりました。基準はなんでしょうか。

    代表的な評価基準

    フレイルの診断に用いられる代表的な評価基準として、「Friedのフレイル基準」があります。
    この基準では、上記の5つの要素(体重減少、疲労感、筋力低下、歩行速度の低下、身体活動の減少)のうち3つ以上に該当する場合、フレイルと診断されます。

    体重減少過去1年間に意図せずに4.5kg以上、または体重の5%以上の体重減少があった場合。
    疲労感「最近、全く活動的でない」「全てのことが大変だ」と感じることが多い、または頻繁に疲れを感じる場合。
    筋力低下握力の低下が見られる場合。握力は性別や体格に応じて基準が設けられており、それを下回ると筋力低下とされます。
    歩行速度の低下4.6メートルを歩くのに通常よりも時間がかかる場合。歩行速度が遅くなっていると、身体の機能が低下していると判断されます。
    身体活動の減少日常的に行う身体活動の量が減少している場合。具体的には、過去1週間での運動や活動量が減少していることが指標となります。

    フレイルの分類は以下のとおりです。

    • フレイル: 上記5項目のうち3項目以上に該当する場合。
    • プレフレイル: 1~2項目に該当する場合。これはフレイルの初期段階であり、早期の介入が効果的です。
    • 健常: どの項目にも該当しない場合。

    フレイルの予防

    フレイルにならないように予防するにはどうしたらよいのでしょうか。フレイルは、高齢者に見られる身体的・精神的・社会的な脆弱性が増す状態を指し、放置すると要介護状態に進行するリスクが高まります。しかし、フレイルは予防可能であり、早期の対策を講じることで健康で自立した生活を長く維持することができます。

    バランスの取れた食事

    フレイル予防の基本は、栄養バランスの取れた食事を心がけることです。特に、高齢者においては、以下の栄養素をしっかり摂取することが重要です。

    タンパク質:筋力を維持するために、魚、肉、豆類、乳製品などの良質なタンパク質を摂ることが推奨されます。
    ビタミンD:骨や筋肉の健康を保つために必要です。日光浴や、サケ、卵黄などのビタミンDが豊富な食品を積極的に摂りましょう。
    カルシウム:骨の健康を維持するために、乳製品や小魚、緑黄色野菜などを取り入れましょう。

    栄養不足は筋力低下や体重減少を引き起こし、フレイルを進行させる要因となるため、適切な栄養管理が重要です。

    定期的な運動

    運動はフレイル予防の最も効果的な方法の一つです。特に、以下のような運動が推奨されます。
    筋力トレーニング:スクワットやダンベルを使った運動で筋力を維持・向上させましょう。週に2〜3回の筋トレが理想です。

    有酸素運動:ウォーキングや水泳など、心肺機能を高める運動を取り入れましょう。毎日20〜30分程度の軽い運動が効果的です。
    バランス運動:片足立ちやヨガなど、バランスを鍛える運動は、転倒予防に役立ちます。

    無理なく、継続して行える運動を日常生活に取り入れることで、筋力やバランス感覚を保つことができます。

    社会的な交流を保つ

    社会的孤立はフレイルの大きなリスク要因の一つです。人とのつながりを維持することで、精神的な健康を保ち、フレイルの進行を防ぐことができます。

    地域の活動に参加:地域のサークルやボランティア活動に参加することで、他者との交流の機会を増やしましょう。
    友人や家族とのコミュニケーション:定期的に友人や家族と会話をする、共に食事をするなど、日常的な交流を大切にしましょう。
    デジタルツールの活用:遠方に住む家族や友人とも、ビデオ通話やSNSを利用して連絡を取り合いましょう。

    孤立を防ぐことは、うつ病や認知機能低下の予防にもつながります。

    メンタルヘルスの維持

    心の健康もフレイル予防には欠かせません。ストレス管理や精神的な安定を保つことが重要です。

    ストレス管理:趣味を楽しむ、リラクゼーション法を取り入れるなど、ストレスを減らす工夫をしましょう。
    十分な休息:質の良い睡眠を確保することが大切です。毎日の睡眠リズムを整え、リラックスできる環境を作りましょう。
    専門家のサポート:気分が落ち込んでいると感じたら、早めに専門家に相談することも重要です。心の健康を保つことで、全体的な健康状態も向上します。

    定期的な健康チェック

    フレイルの早期発見と予防のために、定期的に健康診断を受け、自分の健康状態を把握しておくことが重要です。

    体重管理:体重の変動を定期的に確認し、急激な体重減少がないか注意しましょう。
    筋力測定:握力や歩行速度を測定することで、筋力や運動機能の低下を早期に発見できます。
    血液検査:栄養状態や臓器の機能をチェックし、異常があれば早めに対処しましょう。

    フレイルに対する支援

    フレイルになったらどうしたらよいのでしょうか。フレイルと診断された場合、早期の対応が健康を取り戻す鍵となります。適切な医療サポートを受けつつ、栄養管理、運動、社会的つながりの維持、心理的ケアをバランスよく行うことで、フレイル状態を改善し、より良い生活の質を維持することができます。フレイルは決して取り返しのつかない状態ではなく、適切な対策を講じることで、健康を取り戻し、自立した生活を続けることが可能です。自分自身や家族の健康を守るために、フレイルと向き合い、積極的に対応していきましょう。

    家族による支援

      フレイル状態の高齢者にとって、家族からのサポートは非常に重要です。日常生活におけるちょっとした手助けや心の支えが、高齢者の健康と生活の質を大きく向上させます。

      日常生活のサポート:買い物や掃除、食事の準備など、日常生活の中での小さなサポートを提供することで、高齢者の負担を軽減し、生活の質を向上させることができます。
      一緒に過ごす時間を大切にする:家族との交流は、精神的な健康維持に不可欠です。定期的に訪問したり、電話で話したりすることで、高齢者の孤独感を和らげ、心理的な安定を図ることができます。
      健康状態の観察:高齢者の日常生活を見守り、体重の減少や筋力の低下、疲労感の増加など、フレイルの兆候に早期に気付くことができます。異変があれば、速やかに医療機関を受診するようサポートしましょう。

      地域社会による支援

        地域社会もまた、フレイル予防と支援において重要な役割を果たします。地域のコミュニティや福祉サービスを活用することで、高齢者が社会とのつながりを保ち、健康を維持するための支援が得られます。

        地域コミュニティの活動:高齢者が参加できる地域のサークルや趣味の会、運動グループなど、社会的交流の場を提供することが大切です。こうした活動は、孤立を防ぎ、精神的な健康を支えるだけでなく、身体的な健康維持にも役立ちます。
        ボランティア活動:地域のボランティア活動に参加することで、高齢者が社会貢献を通じて自尊心を高め、活力を維持することができます。ボランティア活動は、他者との交流を深める機会にもなります。
        地域包括支援センター:地域包括支援センターでは、高齢者の健康や福祉に関する相談を受け付け、適切な支援やサービスを紹介しています。高齢者やその家族が気軽に相談できる窓口として、積極的に活用しましょう。

        医療機関による支援

          医療機関は、フレイル状態の高齢者に対する専門的な支援を提供する重要な存在です。適切な医療介入を通じて、フレイルの進行を抑え、健康状態を改善することが可能です。

          定期的な健康チェック:医療機関で定期的に健康診断を受け、血液検査や筋力測定を行うことで、フレイルの兆候を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。
          リハビリテーション:フレイルに対して、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションが有効です。筋力トレーニングやバランス訓練、日常生活動作の改善を図ることで、身体機能の維持・回復を目指します。
          栄養指導:栄養士による個別の栄養指導を受けることで、高齢者が必要な栄養素をしっかり摂取し、栄養状態を改善することができます。適切な栄養管理は、フレイル予防と改善に不可欠です。

          公的な支援制度の活用

            日本には、高齢者を支援するためのさまざまな公的制度が整備されています。これらの制度をうまく活用することで、フレイル状態にある高齢者やその家族の負担を軽減することができます。

            介護保険制度:介護保険を利用することで、訪問介護やデイサービス、リハビリテーションなど、必要な介護サービスを受けることができます。要介護認定を受けていない場合でも、要支援認定を受けることで、一定のサービスが利用可能です。
            福祉サービス:地域によっては、高齢者向けの福祉サービスが提供されており、食事サービスや健康相談、交通支援など、日常生活をサポートするためのサービスを利用できます。
            住宅改修支援:住宅改修支援制度を利用して、自宅のバリアフリー化を行うことで、高齢者が安全に生活できる環境を整えることができます。手すりの設置や段差の解消など、フレイルによる転倒リスクを軽減するための改修が対象です。

            最後に

            フレイルとは、高齢者に見られる脆弱性が増す状態を指し、放置すると深刻な健康問題を引き起こすリスクが高まります。フレイルを単なる老化現象として片付けるのではなく、健康を維持し、生活の質を向上させるための重要な指標として捉え、早期に対策を講じることが必要です。私たち一人ひとりがフレイルに対する理解を深め、予防に取り組むことで、健康で自立した生活を長く続けることができるでしょう。フレイルの認識を広めることは、高齢化社会における課題解決の一助となるはずです。

            フレイルにならない予防、フレイルになった場合は進行を遅らせるための維持管理が肝心と感じました。フレイル状態が介護サービスの利用者予備軍と想定しますと、フレイルの対象者を増やさないような社会が必要なのかなと思いました。

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